自由にできる 選挙活動 〜2007年改正法対応〜 

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『自由にできる 選挙活動 〜2007年改正法対応〜』

自由法曹団京都支部編
出版社:かもがわ出版
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書評 『自由にできる選挙活動』(自由法曹団京都支部編・かもがわ出版)
                                                                     龍谷大学名誉教授 上田 勝美


  1.  選挙の年と本書出版の意義
     本年(08)は、選挙の年である。地方選挙では、知事選挙、市長選挙、あるいは市町村の議員選挙がある。知事選では、1月27日の大阪府知事選を皮切り に順次8知事選が行われる。市長選では、2月17日の京都市長選を初めとして本年中に任期満了を迎える145の市長選が予定されている。
     国政選挙でも、現在の国会状況では、いつ衆議院解散に伴う選挙があってもおかしくはない。
     選挙活動は、本来、国政選挙であれ、地方選挙であれ、全面的に保障されなければならない。すなわち憲法論的には、主権者たる国民(あるいは住民)が、正 々堂々、憲法21条が保障している「一切の表現の自由」を駆使して、積極的な選挙活動ができる筈である。国民(または住民)の政治参加を促進し、議会制民 主主義を確立するためである。
     ところが、選挙活動の実態は、公職選挙法(公選法と略す)により、さまざまな選挙活動の禁止もしくは制限(規制)が課されている。したがって公選法は、 選挙活動取締法として、従来から非難、批判されてきた。本書でも、公選法は「一口で言えば、禁止と取り締まりの法規である」(P13)と公選法の本質を明 確に指摘・批判している。したがって、公選法関係の書籍もしくは解説書は、一般的に選挙活動の「取り締まり」、「規制」の視点から執筆されたものが圧倒的 に多い。
     しかし本書の立場は、いわゆる公選法に関する類書とは基本的に異なる。選挙活動について「あれもやってはいけない」「これもやってはいけない」と規制本 意の公選法の下では、国民の自由な選挙活動が「萎縮」してしまって、憲法が国民に保障する「公務員選定罷免権」の行使(憲法15条1項)が実質、形骸化し かねないのである。
     そこで本書は「国民一人ひとりが『できる活動』に焦点を合わせて記述」(P4)している。本書の最大の力点は、「いわれなき権力からの干渉を排斥」し て、「できる選挙活動」を具体的に明らかにして、いわゆる「革新首長」や「議員」を輩出することを強く期待している、と私は考えている。

  2.  本書の構成と特色
    (1) 本書の構成
     序章  本書を活用するにあたって
     第1章 公選法のあらまし
     第2章 告示(公示)前の活動
     第3章 文書活動
     第4章 街頭活動
     第5章 集会・演説会
     第6章 個々面接による支持拡大と戸別訪問、署名活動
     第7章 組織内部行為
     第8章 公務員の政治活動・選挙活動
     第9章 選挙活動に対する妨害・干渉・弾圧との戦い
    (2) 類書にない『本書』の特色
     本書は、まさに、国民(住民)が選挙活動にかかわる場合に、具体的な処方箋を示している点で、最新、最高の選挙制度と実施に関する手引書である。第9章 の項目などは、他の類書にはまず無い本書ならではの特色である。ここで「最新」といっているのは、「前書『新・自由にできる選挙活動』をベースに1998 年以降、2007年までの法改正及び新たな判例、民主勢力の実践等を踏まえて改定した」(P4)ものだからである。したがって選挙活動にかかわる者、日常 的に労働組合や市民活動を推進している人々の「自由にできる選挙活動」に関する必携書であることを信じて疑わない。
     ここに、確信を持って、本書を推薦する次第である。