裁判員制度施行から2年〜裁判を、市民目線で、変えましょう〜5・14江川紹子さんと考える「冤罪はこうしてつくられる」取調べの可視化と裁判員制度を考える市民集会へどうぞご参加下さい!

秋山健司

 一般市民から選ばれた裁判員が裁判官と一緒に刑事裁判に参加する「裁判員制度」が施行されてまる2年を迎えようとしています。既に1万人を超える一般市民の方々が裁判員(補充裁判員含む。)として法廷での審理を経験しています。裁判員経験者からは、「参加することにより犯罪が起こる社会的背景を身近に感じ、この経験を活かしていく必要を感じた。」等の感想も聞かれています。また「疑わしきは罰せず」という刑事裁判の大原則に照らして無罪判決が宣告されたケースも見られるようになってきています。裁判員裁判を通じて社会の問題を一般市民の方々が身近に考え社会をよりよくするための活動が始まる、「絶望的」と言われていた刑事裁判が市民参加によって変わってくる、そういう良い兆しが見え始めている状況にあると思います。
 裁判員制度は、最大の人権侵害と言われる冤罪を防止することにその最大の意義があると思います。そしてまた、犯罪の背景にある社会問題に対する市民の意識が深まっていくという機能も期待されていると思います。しかしながら、実際には裁判員制度に関する法制度自体、あるいは関連する刑事手続関連法の中に、冤罪防止の意義を減殺したり、市民参加の意義を減殺してしまうような仕組みもあり、裁判員制度の意義・機能が十分に発揮されえないという懸念が存在するのも事実です。取調べ過程の全面可視化を定めた法制度がない、検察官の手持ち証拠の全面開示を認める規定がなく冤罪を防止するための制度的な保障が不十分である、等少なくない問題点が残っています。

 自由法曹団京都支部は、裁判員制度の意義、機能を最大限に発揮させるため、この制度を巡る現象を見つめ、この制度をより良い制度にするための運動が重要であると考えています。そこで国民救援会京都府本部を始め、京都マスコミ文化情報労組会議(京都MIC)、京都地方労働組合総評議会(京都総評)等の諸団体の皆様とともに、「裁判員制度を考える京都の会」を結成し、定例の会議を開いて裁判員制度を巡る諸情勢を確認、議論し、それを受けて裁判員制度の意義と機能を十分に発揮させるための運動方針を立てて活動してきています。定期的な街宣活動、市民集会の開催にも取り組んできています。裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)の付則9条には、「政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の規定の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」という定めがあり、施行から3年目となる2012年5月21日まで後1年というこの時期、私達の活動の重要性は今までにも増して高まっていると思います。

 そのような状況の中、来たる5月14日土曜日の午後1時30分から、ウィングス京都(京都市中京区東洞院通六角下ル御射山町262)の2Fイベントホールにて、?江川紹子さんと考える?「冤罪はこうしてつくられる」?取調べの可視化と裁判員制度を考える市民集会の開催を準備しているところです。この集会においては、地下鉄サリン事件、名張毒葡萄酒冤罪事件、厚労省郵便不正村木事件の取材・報道等で著名なジャーナリストである江川紹子さんをお招きして講演を頂き、質疑応答の時間ももって頂く予定です。最近では毎日放送で、江川紹子さんが原案を作られた『私は屈しない?特捜検察と戦った女性官僚と家族の465日』(主演:田中美佐子さん)が放送され、冤罪が発生する過程を可視化したことが大変話題となりました。検察の在り方検討会の委員も務められた江川紹子さんから、冤罪問題に関する最先端のお話をして頂けることが期待されます。また、日本弁護士連合会裁判員制度実施本部幹事、3年後検証小委員会メンバーで、実際の裁判員裁判に多数取り組んでおられる古川美和団員からも講演を頂く予定です。裁判員制度のもとで冤罪発生を防止するためには何をどうすることが必要なのか、議論と実践の最先端を行く古川団員ならではのお話が期待されます。もちろん会場からのご質問に対しても的確に回答して頂けます。参加して頂いた皆さんには、裁判員制度の真の意義や機能の重要性を感じ、もし裁判員に選任されたときには積極的に参加したいと思って頂けるような集会にしたいと思って準備を進めています。

 未曾有の大災害をもたらし、かつ現在も被害を拡大させている東日本大震災を巡る諸問題、一斉統一地方選挙の渦中にある中、我々民主勢力の課題は山積みですが、冤罪被害者の悲しい叫びも見過ごすことができません。足利事件の菅家さん、布川事件の桜井さん、杉山さんの声にも耳を傾けてほしいと思います。日野町冤罪事件で無期懲役の宣告を受けていた阪原さんは無実を叫びつつもついに再審無罪の判断を得られる前に、獄中で75歳の生涯を終えられました。「生きて返して!」というご家族の無念は計り知れません。今こそ、多数の冤罪被害を発生させてきた刑事裁判をよいものに変える絶好のチャンスです。5月14日の集会にご参加頂き、また裁判員制度を考える京都の会の活動に是非ともご参加下さい!