2011年10月アーカイブ

津島理恵

一 はじめに
 郵便不正事件における捜査機関の不祥事や大阪府東警察署警察官による取調中の暴言脅迫事件などを機に、市民の間でも取り調べ過程の全面的な録画・録音(全面可視化)の必要性が認識されつつあります。
 この時期に、全面的可視化実現に向けた運動をさらに盛り上げ、また、裁判員法施行3年目の見直しの時期を迎えるにあたり、えん罪を生まない制度にするためにどうすればよいかを学び考えることを目的に、2011年5月14日、ジャーナリストの江川紹子さんと古川美和団員を講師として、「取り調べの可視化と裁判員制度を考える市民集会」(以下「集会」といいます。)を開催しました。
 開催の約2ヶ月前から街頭宣伝や関係団体等へオルグ活動を行い、集会への参加や協賛金の協力を求めました。
 その結果、東日本大震災の影響があったにもかかわらず、昨年を大きく上回る協賛金の協力を得るなど、各団体から様々なご協力をいただきました。また、集会当日には、200名を超える方にご参加いただきました(昨年実績の2倍以上)。
弁護士 毛利 崇

 京都地方裁判所(裁判長・大島眞一裁判官)は5月25日、中田衛一さんの死亡は過労死であると訴えた、両親の請求を棄却する不当判決を下しました。
 衛一さんは、1997年に高校を卒業した後、トステムの綾部工場に就職し窓枠製造のライン従事者として働いていました。ところが就職してわずか4年後の2001年6月、夜勤明けに自宅で就寝中に亡くなりました。衛一さんの両親は、衛一さんの死亡の原因が過重な労働にあるとして、会社の責任を追及する訴えを提起し、私は、その弁護団の一員として訴訟手続に関わってきました。
1 今年6月12日(日)、円山音楽堂で、「危険な普天間基地の即時閉鎖・返還を求める6・12京都集会」を開催しました。昨年も同趣旨の沖縄集会を会さしましたので、第2回目となります。小雨の中460名が参加し、京都市役所前までパレードを行いました。
  団京都支部からは、賛同及び賛同金のご協力がありました。また、実行委員会の段階から小笠原、岩佐両団員が実行委員として、奥村が実行委員会事務局長で参加しました。当日は、団幹事長、事務局長をはじめ10名の団員の参加がありました。沖縄問題は終わっていない問題としてこれからも運動が必要です。団京都支部の今後のご協力をお願いします。

関西建設アスベスト京都訴訟を提訴!

京都法律事務所  弁護士  福山 和人

1 関西建設アスベスト京都訴訟の提起
  今年6月3日、京都地裁において、京都在住の建設作業従事者及びその遺族11名が、国と石綿含有建材製造メーカー44社を相手取って、損害賠償請求訴訟を提訴し、8月3日には第1回弁論が行われた。
  本稿では、この訴訟の意義と主な争点、展望等について述べたい。
塩見卓也

 本年7月4日、民法628条に基づく損害賠償請求を請求原因とする珍しい事件で、請求を全面的に認容する判決をとりました。この判決は、有期雇用で働く人が使用者から理不尽な扱いを受け退職に追い込まれた事例等、非正規労働者の権利を守るたたかいに有利な先例になると思われます。
 事件は以下のような事案です。
 原告は、テレビCMでも有名な某クリニックの経営者一族が100%出資している広告会社の大阪支社で、当初は営業職の正社員として働いていました。ところが、その大阪支社で不祥事があり、会社は大阪での業務を縮小することにしました。原告を除く社員はいずれも退職し、大阪には原告だけが残ることになりました。さらに会社はその機会に、原告に、それまでの正社員としての契約から、契約期間1年の有期雇用の契約に切り替えて欲いといいました。

7月例会原発調査報告

オフサイトセンター
 最初に、福井県敦賀原子力防災センター(オフサイトセンター)を見学した。ここは、原発で事故が起きたときに、政府、関係自治体、自衛隊、警察、消防等が集まって対応を協議する場所である。県の建物であるが、設備は独立行政法人原子力安全基盤機構と原子力安全。・保安院のものであり、普段の運営は原子力安全・保安員が行っているとのことであった。
 説明を行ったのは全国で青森と福井にしかいない「統括管理官」という役職の方であり、地元広報や地元議会への説明を行っているとのことであった。私は少し遅れていったので第一原発事故後の対応について十分に聞けなかったが、配付された資料によると、政府、保安院は第一原発事故の原因を津波によるものと決めつけ、地震動そのものによる原子炉の破壊は否定しているようであった。

韓国非正規労働調査旅行

 2011年5月30日?6月1日、自由法曹団京都支部の有志が中心となり、韓国の非正規労働の調査旅行に行ってきました。調査団は総勢10名、調査団長はもちろん中村和雄団員です。そのほかに、京都支部からは、糸瀬美保団員、塩見卓也団員、毛利崇団員、そして私大島が参加しました。
 詳しい調査の報告書は労旬に掲載される予定ですので、ここではそのさわりと、労旬には書けないこぼれ話的な報告をいたします。

弁護士 諸富 健

1 事案の概要
 控訴人(一審原告)は,被控訴人NTTの研究所が勤務地であるというW社の求人情報を見て応募したところ,W社社長による面接,S社社長とNTT100%子会社の被控訴人NTT・AT課長による面接,NTT研究員2名とNTT・AT課長による面接を順次受けた。1度目の面接は10分程度で終わり,2度目の面接では英語力の有無や長期勤務の可能性を確認され,3度目の面接では英字新聞の和訳を求められTOEIC700点以上の英語力があると評価された。その結果,控訴人はNTTの研究所での採用が決まった。NTT→NTT・AT→S社等→W社と業務委託の形式が採られており,NTTはNTT・ATに月額50万円支払っていたが,控訴人が受け取っていた賃金は月額18万3000円であった。
自由法曹団京都支部

 3月11日に発生した東日本大震災は、日本における観測史上最大の巨大地震とされ、地震と津波による被害は甚大なものになっています。
 自由法曹団京都支部は、痛ましい犠牲となった方々に対し、心から哀悼の意を表するとともに、被災者の皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 自由法曹団では、この大震災に対処すべく、東日本大地震対策本部を東京に設置し、阪神・淡路大震災の時の経験を生かして、被災地の自由法曹団員・法律事務所とともに様々な活動・提言を行っていくこととしています。
 自由法曹団京都支部は、対策本部の提起を踏まえ、京都に避難されてこられた被災者の方々に対する支援体制を検討していく予定です。
 地震と津波により発生した福島原子力発電所の事故は、これまでの我が国の原子力行政のあり方を問うものであり、被害の拡大を防ぐためにも、正確な情報を開示するとともに、世界的な協力を求めていくことが必要です。
 同時に、事故現場で働く労働者の被曝問題も大いに懸念されるところです。
 京都においては、福井県の原子力発電所から80キロ圏内に入っており、関西電力への原子力発電所の安全点検・情報開示を求めていくことが必要です。
 一方で、「仕事が減ったから」と震災に便乗するような解雇、非正規切りや、「自宅待機」を一方的に命じられ、賃金保証がされないなどの相談や「内定取り消し」も見られるようになっており、こうした動きに対する対応を全国的に検討することも求められています。 
  生活基盤を破壊された被災者の方々の生活再建は公的に保障されるべきであり、政府の責任で災害の保障を行うことは、憲法25条が求める社会国家の責務です。復興にあたっては住民本位・人間本位の復興・まちづくりが貫かれることが必要です。
吉本晴樹

一 団京都支部では、この間、京都府北部地域における団員・団事務所の配置に取り組んできた。同地域においては、一九六九年に小林義和団員が舞鶴で事務所を設立し、次いで一九八五年に宮本平一団員が福知山法律事務所を設立して、以来、両事務所が地域に根ざした民主的法律事務所としての活動を続けてきた。しかし、後継者対策の必要から、新たな団員の派遣が要請されてきた。
 そこで、派遣されることになったのが私である。当時は新入団員であった私を派遣するにあたり、京都支部は次のようなロードマップを用意した。
 ステップ(1)登録一年目は、京都第一法律事務所にてトレーニングを積む(〇八年一二月〜一〇年四月)。
 ステップ(2)二年目は、福知山法律事務所に移籍して、勤務弁護士をしながら更に経験を上積みする(一〇年五月〜一年間を目処)。
 ステップ(3)その後、舞鶴にて独立して団事務所を立ち上げる。
 本原稿執筆時点(一一年三月末)ではステップ?の最終段階にあり、本年五月の開業(ステップ?)に向け準備を進めているところである。
 本稿は、私の福知山での約一年間の経験を踏まえた報告である。
 2011年3月31日、京都地裁にて、京都大学時間雇用職員雇止め事件につき判決が言い渡された。
 現在、日本の多くの大学で、任期付雇用や、3年ないし5年を上限とする不更新条項を設けるなどにより、いとも簡単に非正規事務職や非常勤講師が使い捨てられることが問題となっている。京都は「大学の街」である。私も、この間このような問題に関する相談を沢山受けてきた。