7月例会原発調査報告

オフサイトセンター
 最初に、福井県敦賀原子力防災センター(オフサイトセンター)を見学した。ここは、原発で事故が起きたときに、政府、関係自治体、自衛隊、警察、消防等が集まって対応を協議する場所である。県の建物であるが、設備は独立行政法人原子力安全基盤機構と原子力安全。・保安院のものであり、普段の運営は原子力安全・保安員が行っているとのことであった。
 説明を行ったのは全国で青森と福井にしかいない「統括管理官」という役職の方であり、地元広報や地元議会への説明を行っているとのことであった。私は少し遅れていったので第一原発事故後の対応について十分に聞けなかったが、配付された資料によると、政府、保安院は第一原発事故の原因を津波によるものと決めつけ、地震動そのものによる原子炉の破壊は否定しているようであった。
 おもしろかったのは質疑応答の方であり、保安院の職員は(1)経産省入省者からの配置転換組、(2)東芝、日立等の原子炉メーカーからのリクルート組、(3)自衛隊、消防等からのリクルート・出向組で構成されているとのことであった。自衛隊が原発の危機管理に深く入り込んでいるのが印象的だった。二人目の説明要員として出てきた職員も自衛隊出身者だった。この方は「原子力安全・保安院は原子力の安全だけでなく産業保安全般も担当しているので、原子力安全だけを経産省から分離してよいのか疑問がある」と述べていた。放射能拡散予測システムのSPEEDIを小規模事故でも運用しないのか、と質問したのに対しては、「あれは大事故が起きたときに運用するもの」との回答だった。

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もんじゅエムシースクエア
 次に訪れたのは高速増殖炉もんじゅを運営する独立行政法人日本原子力研究開発機構の広報センター。もんじゅの構造について説明し、安全性をアピールする展示物であったが、構造については勉強になったものの、安全性アピールはなにやら空しいものを感じだ。

美浜原発PRセンター
 その次は美浜原発構内に入る一般人立ち入り禁止の橋のたもとにあるPRセンターに行った。美浜原発は海水浴場のすぐそばにあるが、人も多数いる海辺に突如として巨大な人工物が立ちはだかっている風景自体に異様なものに感じた。また、駐車場には大型の観光バスが複数止まっており「原発安全性説明会」というようなツアー名が書いてあった。
 センターでは広報用ビデオを閲覧したが、CGで再現した原子炉内部の映像はかなりのお金をかけて作ったと思われ、なかなかの迫力であった。加圧水型の軽水炉の構造を概念図ではなく実体的に把握できたのは収穫だった。
 映像の後は、元原子炉の技術者と思われるセンターの館長から安全対策について型どおりの説明があったが、関西電力でも、今般、津波研究の予算をつけた、とのことだった。
 その後は質疑応答となった。私は、神戸対名誉教授の石橋克彦氏や、原子炉設計者の田中三彦氏の名前も出しながら、福島第一原発は津波の前に地震で壊れたのではないのか、本当の事故原因は10?20年たって原発を解体してみないと分からないのではないか、なぜ津波対策だけで安全と言えるのか、という趣旨の質問をした。館長は石橋氏や田中氏を「評論家」と表現し、そういう話があることは知っているが、政府・東京電力からはまだその点について何も情報をもらっていない、とのことだった。この点については総じて自信なさげで、地震で原子炉が壊れたことについて否定もしなかった。あれは、原子炉運転に携わった方の本音だろうか。その後、原子炉の機器交換の状況について質問に対して、したり顔で「材料工学の勉強もしてください」と言ったりして、心理的ストレスがたまっているようだった。今回の調査の手配をしてくださった共産党の佐藤正雄県議のブログによると、6月議会で脆性遷移温度の問題を取り上げたのが痛かったようだ。

懇親会
 夜は宿から歩いて10分の店で懇親会を行った。今回は、京都支部だけでなく、大阪、滋賀、奈良、岐阜の各支部からも参加があったが、各地の取り組みの状況や意気込みが報告された。特に、滋賀支部は、吉原団員を中心に、原発運転の差し止めを求める仮処分の申し立てを計画しているとのことだった。仮処分の後は、京都、大阪とも連携して本訴提起を考えてるとも。私は酔いに任せて「差し止めの裁判を京都でやる」と宣言した。奈良の佐藤団員からは「裁判やるときは誘ってくれ」と言われた。大阪からは寺沢達夫団員が参加し、地元での「平和のための戦争展」で今回の調査の報告をする、とのことだった。
 私は、懇親会の間、佐藤正雄県議と様々な話をしたが、京都府下で反対運動が起きて原発ができず、福井市等の近くにも原発の計画があったがこれも反対運動でできず、結局、真ん中の若狭湾に原発が集まった、という話は印象的だった。福井県は先の統一地方選挙で佐藤議員が共産党唯一の議席を奪還したが、原発の問題点を告発する議員の重要性も感じだ。

小木曽美和子さんの講演
 二日目の午前中は、原子力発電に反対する福井県民会議事務局長の小木曽美和子さんから若狭湾の原発を巡る様々な事情について原発設置の頃からさかのぼったお話をしていただいた。若狭湾の原発が繰り返し事故を起こしてきた状況、若狭湾に伝わる大きな津波についての話、原発直下にある活断層、電源三法に基づく交付金が19種類もあり、地元自治体が補助金漬けになっている状況など、長年の活動に裏付けられた詳細なお話だった。小木曽さんは、大きな消費地である大阪等の都会で原発止めろの声が大きく上がらなければならない、というお話もされていた。小木曽さんの活動はとても貴重なものだと思う。また、京都にお招きして、大きな講演会をやったらよいのではないだろうか。
 質疑応答では「都会の感覚で原発を止めろという議論をしたら、原発関連の仕事で生活している人たちが困るのではないか」と尋ねた。小木曽さんは、嶺南地域(若狭湾周辺)で署名運動をやると、署名した人たちが直接攻撃の対象になる困難な状況があることを指摘しつつ、それでも、敦賀市では原発の増設について住民投票を行うための署名を有権者4万人で1万2000人も集めた話や、原発の隣接の自治体はみんな増設に反対していること、県知事宛に増設反対の20万人署名をやったところ、町長、地元の議会には提出されず、知事にだけ出されるということになったら、たくさんの人が署名してくれ、22万人の署名を集めて、知事の原発増設の判断を遅らせてきたことなど、貴重な成果の報告がされた。また、原発を推進しているのは役場の関係や関連事業の人たちだけで、関連事業で働いている人すら、本当はこんな仕事はしたくない、という思いで働いている、ということであった。ここでも、小木曽さんが、消費者の立場から、大きな声を上げてほしい、とおっしゃっていたのが印象的だった。

感想
 原発のある地域の様子、雰囲気を実際に体験することは、京都で運動を進めていく上でも重要だったと思う。また、原発の構造等について理解が進んだのもよかった。そしてなにより、地元の運動と結びついた方のお話を伺ったことで、原発が地元に与える影響や地元の認識を知ることができたのが大きかった。福井の運動はかなり高齢化しているようなので、京都にもお招きして、こちらからもまた調査に行くなど、経験交流を進めることも重要だと思った。

以上